小腸の一部を大腸の代わりに使ってストマを閉鎖し、病気の前と
同じように肛門から排泄するのは私の場合は無理みたい。
人間である以上、何とか元の身体に戻りたいって考える
のは当然なんだけど。。。。
どうにもならないジレンマに気が狂いそうになる。
でも、人間の身体を欲しがってたら今の状況は辛く切ないだけ。。。
そうだ、、、自分を人間だと思わなければイイんだ。
現代医学の粋を集めて改造されたサイボーグ。。。
そう、、、私の身体はサイボーグ。
口から人間と同じ食物も摂取できる。笑ったり泣いたり
もできる。自分の頭で考え、感情もある。あっちの世界を
垣間見たから、感性の部分は病気の前よりも研ぎ澄まされた
かも知れない。
口から摂取したモノの残りかすの捨て方が人間とちょっと
違うだけ。考えようによったら人間よりもオートマチック。
サイボーグとしてならもうひと花咲かせられるかも知れない。
この頃にお腹から出ていたチューブの最後の1本が外された。
歩いても横になっても何をするにも邪魔でストレスの元凶だった
チューブ。膿を溜めるボトルも引きずらなくて良くなった。
これを境に飛躍的に私の動きは活発になった。
チューブが外れて間もない日、、、看護師さんが、、、
「あんた、もう病院着は必要ないでしょっ!!いつまでも
そんな煩わしいの着てなくていいのよっ」
、、、たくさん笑われた。
そう言われればまったくその通り!レンタル代もかさむし陰気
だし、着ていて楽しいことは一つもない。早速業者さんに返して
ジャージ姿になってみた。
C4の病室はどこも満室なのに病棟はシ~ンと静まりかえって
いた。お陀仏病棟の廊下を歩いてもすれ違う人は滅多にいない。
そんな病棟で一人だけジャージ姿でトコトコ歩き回ってるのも
変だった。
他の病室にお見舞いに訪れる人々には病人には見えなかったんだ
と思う。すれ違う度に病院の道案内をお願いされた覚えがある。
この頃はすでに身体障害者には認定されていたけど、市からの
装具の支給は書類の関係でまだだった。
本を読み漁って装具を自費で買っていろいろ試した。妹が週に
2~3日病室に通って来てくれてたから、頼んでおけば業者さん
が病室に送ってくれてありがたかった。
↓病院の売店で最初に買った本。初心者には分かり易かった。

しかし、、、
痩せこけたお腹の皮膚の凹凸にフランジの面板が上手く
密着しないし、鏡を見ながらの処理は難しかった。。。
漏れた、、、
ひどい時には数時間ともたなかった。横になるとフランジの
裏側に排泄物が回ってしまって、、、寝ている時が一番不安。
夜中に何回もシャワー室に行ったり、ナースコールのお世話に
なった。
どうにもならん、、、
皮膚のケアやストマのケアを専門に勉強してる看護師さんも
心配してくれていろいろやってくれるんだけど、フランジの
裏側からの漏れがどうしても止まらない。
大腸が全てないから出て来る排泄物の状態はほとんど液体。
特に朝方寝入ってしまって油断してる時に漏れた。
夜が怖かった。眠いのを我慢して夜通し起きてる毎日、、、
睡眠不足が続いた、、、。
フランジの穴をストマの形に合わせるのに最初は鋏を使って
いた。きれいにカットできなくて苦労していた時に看護師さん
が持ってたの見て欲しくて探したフランジカッター。
↓これのおかげで作業が格段に速く正確になった。

3~5日は交換しなくて良いはずなのに、日に2~3回は
やり直し、、、最初の難関、、、サイボーグの部品交換は
こんな感じで始まった。
装具は意外に価格が高い。毎日何回もやってたんじゃあ
生活が成り立たない。
慣れないからパウチの交換の時、排泄物が手に付く!!
小腸から出て来たばかりの排泄物は消化酵素の匂いのみで
不思議と人間の時の便の匂いはない。
それでも手に付くと気になって気になって、、、病室の
洗面台で手ばかり洗っていた。だんだんトラウマになって
何回も何回も手を洗い直した。
気が狂ったみたいに手ばかり洗うからアカギレやシモヤケ
がひどかった。
このサイボーグは日々のケアに時間とコストがかかって
まだまだ商品にはならん。
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