ある程度正気に戻ったのはいつ頃なのか全く覚えていない。
暗くて寒気のするような夢ばかり見ていた。怖くて怖くて
いつも怯えていた。
視界に入るのは天井と点滴棒だけ。点滴棒には無数のバッグ
がぶら下がっていた。白い液体、赤い液体、透明なのもあれ
ば、白濁したのもあった。。。一体いくつぶら下がってたん
だろう??
腕が動くようになってから自分のお腹に触ってみた。腹帯の
上からそっとだけど、、、左右の脇腹から細いパイプが何本
も出ていた。その先がどうなってるのかは見えなかったけど
肩口と腕に点滴が入ってるのと、お腹から出ているパイプや
チューブの本数はとにかくたくさんあった。
、、、妹に聞いたら全部で7本出入りしてるって言ってた。
手術の創はみぞおちのチョイ下から下腹部に向かって30cm
以上あると言っていたのを覚えてる。
右のお腹に何やらゴワゴワするモノがくっ付いていた。左の
お腹には硬くてレモン大のカプセル状のモノがくっ付いていた。
何がどんな役割をしてるのかは全然わからなかったけど、最初
に執刀医の先生から説明を受けた手術の内容とは様子が違うん
じゃないかと思った。
会話は5分が限度!会話と言うより起きていられる時間が5分
程度だったと思う。妹の話を5分程聞くと極度の貧血で気を
失った。途切れ途切れに聞く話からはやっぱり最初の予定とは
違う手術だったことをこの頃何となく理解した。お正月も明け
た5日~10日ころだったと思う。
術後3日目頃だろうか、、、先生から少しだけお水かお茶を飲
んで良いよって許可が出た。手術の前は甘いジュースをドラム
缶イッパイ飲みたい気分だったけど、、、吸い飲みの先からほん
の僅かに水をすするので精一杯だった。看護師さんが氷を砕いて
吸い飲みに入れて来てくれるんだけど、ムセて飲めなかった。
水が苦くて苦くて不味かった。
子供の頃から好きだった、、、病気になった時だけ母親が買って
くれた、、、不二家のネクターを妹が買って来てくれた。
すっごく甘い桃のジュース、、、トロッとしていて飲み易い!!
この頃、テレビでは不二家の不正が取り正されていて、、、かなり
悪者のお菓子メーカーだったけど、私にとっては命の源だったかも
知れない。美味しくて美味しくて、、、でも吸い飲みから僅か一口
飲むのにかなり時間を要した。
唾液も出なければ、胃にも落ちて行かない。。。喉が渇いて乾いて
仕方ないのに切なかった。病室にはステンレス製の大きなワゴン
が2~3台いつも置いてあって、簡単な切開手術は病室で行える
ように準備されていた。
↓
まだ1回もベッドから起き上がってないのに移動用の車椅子まで
用意してあった。これに乗ってジュースを買いに行けるのはいつ頃
だろうって考えた。
内容が最初と大きく違ってはいたけど手術が成功したことだけは
先生や看護師さん、妹の態度から良く分かった。後はお薬と時間
が解決してくれるんだと
“大きな勘違い”をして毎日が過ぎて行った。
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