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ダイエットコーラ


平日の回診ではお腹の傷を洗ったり、褥瘡(ジョクソウ)をパチパチ
と鋏で切り取られる。ベッドの柵にしがみつき歯を食いしばってこら
える日々が続く、、、

、、、とても痛いし苦しい。体力を奪われて1日何もできなくなる。



そんな病院の生活も日曜日だけは好きだった。回診がないから痛い
思いをしなくて済む。お腹の傷や褥瘡の処置は一応あったけど、
看護師さんが簡単に処置して終るので何もかもが楽だった。





日曜は検査がないからレントゲン室や透視室までの長い道程を旅
に出される心配がない。普段ピリピリと口うるさい看護師さん達
もなぜか日曜日だけは和やかで優しかった。傷口を水圧で洗うシ
ャワーもこの日だけはお休みできた。



この頃になると日曜日はいろんな人がお見舞いに来てくれた。人恋
しい反面、醜い身体を見られるのが嫌で気持ちは複雑。。。
相変わらず、お腹の膿を溜めるペットボトルを点滴棒の下にぶら
下げてヨロヨロと歩く毎日。見られるのは嫌だった。



コカコーラを飲むのが楽しみだった。味がハッキリしていて炭酸
が咽喉に心地よい。飲むと気分が新鮮な感じになって。。。
生きてんだか死んでんだか分らない自分の五感を唯一呼び覚まし
てくれる特効薬だった。



1月下旬頃の永山駅から見た病院(お見舞いに来てくれた方が撮影)。
冬枯れの桜の木々が寒々感じる風景。
永山駅から見た病院




コーラを飲んでるのを先生や看護師さんに見つかるのが怖かった。
空き缶はゴミ箱の底に隠していた。毎日掃除のおばさんが持ってっ
てくれるまでは結構ビクビクしてた。



日曜日、、、回診もないから油断してサイドテーブルにコーラの缶
が置きっ放しだった。

早朝に突然カッシー(主治医&手術担当の先生)が病室にやって来
て案の定、見つかってこっぴどく叱られた。。。


飲んでいたのはコレ。売店は日曜が休みなんで病棟の自販機で買った。
病棟の自販機にはペプシのこれしかなかったから仕方ない。。。
ダイエットコーラ

消化器の患者がコーラなんか飲んでけしからんって言われるのかと
思ったら、、、






カッシー、、、「ダイエットコーラ飲んでる場合じゃないでしょ~!」



私、、、「すいません」



カッシー、、、「飲むんなら砂糖がタップリ入ってる普通のコーラ!!
        ノンカロリーじゃ、腹の傷も尻の傷も全然治らん」



私、、、「、、、??」



カッシー、、、「とにかくカロリー!カロリー摂って!!分かった!?」



この頃は病室のすぐ先にある自販機までコーラを買いに行くだけでも
かなりの重労働。往復で30m程度。。。(この画像は退院する頃に
お見舞いの方に撮っていただいたものです)
C4病棟の自販機



これにはいつもコッソリと売店でコーラを仕入れて来てくれる妹
も大笑いしていた。この日を境にコカコーラは堂々と飲めた。








病室はストマや床ズレの臭いが充満してるような気がして、お見舞い
の方達と会うのは病棟の談話室にしていた。
C4病棟の談話室

向かって左がC棟、右がB棟。間にある赤枠が談話室。こうして見る
とC棟(お陀仏病棟、、、私の中で)とB棟の構造は明らかに違う!!
窓の構造もC棟はかなり厳重。この厳重な窓のおかげで現在生きて
るのかも知れない。







お見舞いの方々と会うと食欲も増した。食事は画像のような気の
利いた器で出されるから好きだった。ピンクの缶が問題の栄養を
補うカロリー飲料。不味くてとても飲めなかった。この日の夕食
はちらし寿司。もちろん半分程度しか食べられない。Tシャツは
普段このサイズだとピチピチなのに、、、ダボダボ。この頃の体
重は50Kg位だと思う。
ピンクの缶、、、不味くて飲めなかった




カッシーが食欲が出ないのを心配して念の為の胃の内視鏡検査を
することになった。手術前の度重なる大腸内視鏡検査で辛い思い
をしたから、内視鏡と聞くと身震いした。

食道と胃は全く問題のない健康そのもの、、、しかし、、、10月
半ばから1月初めまでの2ヵ月以上の絶食でカビだらけ!!
長い間、食道と胃を使わなかったからカビやコケが生えてしまった
らしい。




スキーの生徒さんが同じ日にたくさんお見舞いに来て下さることが
多かった。皆、楽しそうにスキー学校のレッスンのことを話してくれ
たけど、、、自分にとっては「別世界」の話に聞こえた。

やりきれなかった。スキーの話なんて迷惑以外何物でもなかった。




微熱で眠れない深夜にテレビをつけた。ちょうどスウェーデンの
オーレでアルペンの世界選手権をライブでやってた。。。
忘れかけていた光景、諦めていたシーンが両目に飛び込んで来た。

久し振りに “雪” 、 “ゲレンデ” 、“斜面” を見た。

、、、鮮烈だった。懐かしかった。雪の “白さ” で心がキュ~ンと
引き締まったのを覚えてる。



、、、自分にはもう銀世界に戻る手立てはない筈。。。



人工肛門になる前は好きだった女性に頻繁に病室に来てもらってた
けど、こんな身体じゃもう無理だと悲観して自分から連絡を絶った。
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cyborg 005
2023シーズン、まだ生きてる

☆彡全日本スキー連盟公認
  指導員、A級検定員
☆彡日本スポーツ協会公認
  スキー上級教師
  スキー・スノーボードコーチ2

06、12月に劇症型の潰瘍性
大腸炎(UC)
で大腸全摘手術を
受け、オストメイトとなる。

31年間勤務したスキー学校を
退職し現在フリーで活動中。

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